金武レッド・ビーチ訓練場の横顔と問題点 (軍用地跡地利用を考えるその2)

レッドビーチ訓練場

金武町には、町(37.76平方キロメートル)の約60%を米軍基地。キャンプ・ハンセン、金武ブルー・ビーチ訓練場、金武レッド・ビーチ訓練場、このほかに航空自衛隊恩納分屯基地(0.16平方キロメートル)もキャンプ・ハンセンに隣接しています。

「金武レッド・ビーチ訓練場」の横顔

金武レッド・ビーチ訓練場 (Kin Red Beach Training Area) は、沖縄県金武町にある在日アメリカ海兵隊の訓練場。金武レッド・ビーチ訓練場は、金武町市街地から西に国道329号を約300メートル海岸に南下した海岸に位置しています。

2隻の揚陸艦を停泊させる護岸があり、山手にある巨大なキャンプ・ハンセンと一体で使用されており、物資や兵士の移動に使われています。また、少人数のよる夜間上陸訓練や航空機火災訓練なども行われ、海兵隊がオーストラリアの民間会社と契約した高速船が多く停泊していることでも知られています。

「金武レッド・ビーチ訓練場」の歩みと問題点

1972年(昭和47年)5月15日の祖国復帰に伴い、米軍政府の管理下から脱却してもなお基地の実態は変わらず、半世紀を越えて金武町には米軍基地が存在しつづけています。現在、金武町には6千余人の米国海兵隊員が駐留し、米軍演習による騒音公害や環境破壊、軍人軍属による事件事故などがたびたび発生しています。

また、広大な土地の接収が、町の振興発展の阻害要因となっているほか、実戦さながらの訓練が教育環境に悪影響を及ぼすなど、さまざまな基地問題を抱えています。このような状況を改善するため、本町では、国、県及び米軍の関係機関等と連携して演習被害の軽減、事件事故の未然防止、基地経済からの脱却を図っています。

「金武レッド・ビーチ訓練場」に関わる環境問題

2021年9月17日の「琉球新報」では、環境汚染に関する次のような記事が掲載されています。

金武で有害PFAS指針の3倍 米軍ハンセン周辺の排水路

沖縄県金武町が町内の河川などで実施した2020年度の水質調査について、調査地点15カ所のうち1カ所で、発がん性などのリスクが指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)の値が国が定めた指針値の約3倍に上ったことが16日、分かった。町議会(嘉数義光議長)9月定例会で崎浜秀幸町議の一般質問に仲間一町長が答えた。

調査は河川や排水路15カ所と各区の水道水などを調べた。国が基準とするPFASの合計値は50ナノグラムだが、金武地区の米軍キャンプ・ハンセンからレッド・ビーチに流れる排水路の上流部で165ナノグラムが検出された。また、屋嘉区の河川が54ナノグラムだった。水道水は金武区が15ナノグラム、並里区が4ナノグラムだった。ハンセンから流れる排水路については19年度の調査時、河口部で基準の6倍に当たる300ナノグラムが検出されていた。

今回の有機フッ素化合物(PFAS)による河川の汚染問題は、2019年度の調査時に比べて改善されてはいるものの、こうした問題は他の軍用地でも見られ、たとえ返還されたとしても注視して行かざるを得ません。

そんな中、軍用地跡地利用に関する興味深い「論文」があったので、抜粋して紹介します。

「沖縄軍用地の過剰開発プロセスにおける自治体の役割」by難波孝志 (第二回)

軍用跡地再開発アクター間の調整役としての自治体

沖縄軍用跡地再開発関係アクター間の関連について、跡地再開発という特殊な事情の中 で、アクター間の調整役として重要な役割を果たしているのが自治体。
今回は、再開発の現場で、以下 6 者のアクターについて見ていきましょう。

軍用跡地再開発の中心となる軍用地主

これら軍用地主は、そのほとんどが個人ですが、中には(行政)区であったり、認可地縁団体、郷友会であったりと地域住民組織である場合もあります。
今回は分収金制度、つまり土地は市町村有ですが、実際には(行政)区がその管理・運用を行い、市町村から各 (行政)区へ軍用地再開発は、軍用地主が動かないと始まりません。

しかし前述の近隣効果の問題、そして、再開発後にそれまで得ていた軍用地料に見合うだけの収入の確保が保証されることが前提となるため、思うようには進展しないのが現状であります。

軍用地主会の存在

軍用地主は直接、国(防衛省)との交渉を行うわけではありません。軍用地料の額を決めるのも、すべて軍用地主会が代表して行います。
軍用地料の額の交渉が国と行えるということは、裏を返せば日米安全保障や地位協定に直接関わるようなことがらを国と交渉を行うことができるというわけです。

また、軍用地主会は、軍用地主の金融機関的な役割も担いますが、跡地再開発については、土地利用計画策定の ための自治体や地主・施行者との折衝、土地の先行取得・減歩率の交渉、地主への事業説 明、換地、地区計画の設定などの重要な作業を担います。

広域自治体である沖縄県

県は 2012 年に「沖縄21世紀ビジョン基本計 画」を策定し、跡地利用そのものが 21世紀ビジョン沖縄振興につながると位置付けています。
沖縄県の国に対するこの戦略は効を奏した。後述の一括交付金の創設によって、米軍と国 (防衛省)との交渉のもと返還順位が決まる軍用地の跡地利用についても、県が事業を指定することで対処することが可能になりました。

国(防衛省)

国は、自治体に対して前述の各種交付金の交付や沖縄振興、北部振興、島田懇等による公共事業によって、県を飛び越えて自治体あるいは地元(区)との太いパイプを持っています。
また、跡地再開発に関する法的整備を行うのは国。跡地再開発に関する法的整備の交渉も、県や自治体との交渉が鍵になります。

民間コンサルタント、ディベロッパー

もちろん、この 2 者は利益のために再開発に参画するわけです。交渉がスムースに行えるように潤滑油の役割を果たしますが、利益が出ないと撤退も早い。
大きな事業となると海外企業の参画も増える。国境に近い地域の海外企業の土地買い占めなど、国内企業ではなかった事柄が露呈することもあります。

利害調整

跡地再開発の鍵を握るのが (市町村)自治体当局。再開発後の地域計画図を画くのは自治体であり、進まない跡地再開発を率先して動かしていくのも、軍用地主の利益優先型の再開発に対して歯止めをかけることができるのも自治体の役割です。

ここでは6者のアクターを想定しましたが、これらアクター間の経済的、心理的、社会的葛藤が完全に除去されたと自治体が判断した時に、初めて公的投資による軍用跡地再開発は事業化され動き始めるのです。(次回へ続く)

レッドビーチ訓練場倍率

ここのところレッドビーチの売り物はみたことがありません。
ハンセンはたまに出ますが、レッドビーチは地主数も救いないし面積もあまり広くないのでなかなか出ないのではないでしょうか?
ちなみに、金融機関の評価倍率表を見るとD地区で45倍となっております。

レッドビーチ訓練場物件

同じく物件情報はありません。

レッドビーチ訓練場概要

所在地 金武町(字金武)
施設面積 14千m2
地主数 49人
年間賃借料 12,000,000円(平成24年度実績)
施設の管理及び用途 管理:海兵隊
用途:演習場

 

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