軍用地人気ベスト5~沖縄県老舗不動産会社取締役がこっそり語る~

プロが選ぶ軍用地人気ベスト5

1972年5月に沖縄が日本に返還され、来年で50年。その後も米軍が使用している基地、国土交通省が管理している那覇空港用地、加えて自衛隊基地を「軍用地」と呼びます。
その面積は、およそ185平方キロメートル。これは、伊豆大島のおよそ2倍。東京ドームなら4000個分に相当する面積を誇ります。

今回は近年、投資対象として人気の高い沖縄の「軍用地ベスト5」について、老舗不動産会社を切り盛りするN氏に詳しくお話を伺ってみました。

軍用地のプロが選んだ「軍用地ベスト5」とは…!?

N氏 日米両政府は、2013年4月「沖縄の在日米軍施設・区域に関する統合計画」に合意。沖縄県内でも人口の多い、嘉手納飛行場より南にある米軍の6つの基地の各施設を再編統合。
あいた土地を順次日本に返還する時期を明らかにしました。

嘉手納飛行場

N氏 そんな中で、私が「軍用地ベスト1」に選んだのが、何といっても「嘉手納飛行場」です。

第一位嘉手納飛行場

沖縄県中部、中頭郡嘉手納町・沖縄市・中頭郡北谷町にまたがる極東最大のアメリカ軍空軍基地。その大きさは、東京都品川区にほぼ匹敵。その内、90%以上が私有地であり、地主の数は11,450人。そのため、年間239億円を超える賃借料が土地所有者に支払われている。

N氏 やはり返還されることのない飛行場は人気がある。今でこそ「倍率55〜58」だが、コロナ禍以前は「倍率63」。滑走路にこだわる必要はありません。少し離れた「見込み地」がこれから上がる可能性があります。

N氏 私が選んだ「軍用地ベスト2」は、「嘉手納飛行場」に隣接する「嘉手納弾薬庫」。
嘉手納弾薬庫

第二位嘉手納弾薬庫

沖縄県中部、読谷村、沖縄市、嘉手納町、恩納村、うるま市にまたがる広大な在日米軍基地。総面積は、およそ27.2平方キロメートル。嘉手納飛行場に隣接。空軍が弾薬の貯蔵、整備などの管理を行う。地主の数は、4,669人。

N氏 嘉手納弾薬庫地区も嘉手納飛行場とワンセットで、返還はされることはありません。地下は巨大迷路と化して危険。沖縄県民にも言えない化学兵器が眠っている可能性もあります(笑)。日米安保条約がある限り、返還されることはないでしょう。対中国政策もあり、極東の重要拠点であることに変わりはありません。現在の「倍率45〜48」。

N氏 私が選んだ「軍用地ベスト3」は、皆さんのよく知っている「那覇空港」です。
那覇空港

第3位那覇空港

沖縄県那覇市にある国内線の基幹空港。隣接する航空自衛隊那覇基地の施設が併設され、民間機と自衛隊機が共同で使用する軍民共用の飛行場。着陸回数では日本の空港で第5位。国内線に限ると離着回数は第2位。2020年には、第二滑走路の供用を開始している。

N氏 国交相が管理している那覇空港も航空自衛隊那覇基地も「軍用地」として取引され、「倍率」も高く、欲しがる人も沢山います。第二滑走路も出来たし、移設する可能性はゼロ。いずれは、アジアのハブ空港になるという声もあります。

N氏 私が選んだ「軍用地ベスト4」は、すでに返還が決まっている「キャンプ・キンザー」こと「牧港補給地区」
キャンプキンザー

第4位キャンプ・キンザー(牧港補給地区)

沖縄県浦添市に位置する米海兵隊の兵站施設。沖縄の主要道路・国道58号から沖縄の西海岸まで東西1キロ、南北3キロに及ぶ広大な敷地。敷地面積は、2,694平方キロメートル。地主は、2,205人。戦後から沖縄本土復帰前にかけては、軍需物資の貯蔵や補給、修理などのための巨大な倉庫群・兵舎が建設され、米陸軍の極東随一の総合補給基地となっていた。

N氏 倉庫地区の大半を含むエリアも「2025年度またはその後」の返還が決まっていたはずが、行き先の買収がうまくいかずに延期になっている。松本市長率いる浦添市は跡地の計画もはっきりしている。返還まで借地料をもらえ、返還後も那覇に近く利便性も高い。将来、子供達が住んでも売却しても良い、将来性の高い軍用地です。

そのため、コロナ禍になる前は「倍率65」まで上がっていました。特に58号線沿線は高く、二、三年前でも「坪70万円」。最近は一時よりは落ちて「倍率58」程度に落ち着きました。

「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」

浦添パルコシティ

浦添市西洲。沖縄県内でスーパーマーケットを展開する「サンエー」と、本土を中心にファッションビルを展開する「パルコ」との合弁会社「サンエーパルコ」によって運営されるショッピングモールが、「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」。

キャンプ・キンザー(牧港補給基地地区)沖の開発事業の一環として、2019年6月27日にオープン。商業施設面積でみると「イオンモール沖縄ライカム」についで、県内二番目の大きさを誇る。コンセプトは、ズバリ!「幸せの共感〜ここから未来へ〜」。

那覇空港から、およそ9キロ。車だったらたったの15分。250店舗の内、80店舗あまりが沖縄初上陸のお店。1Fは沖縄の特産品が揃う「沖縄フロア」。2Fは「ファッションフロア」。そして3Fは映画館などの「エンターテインメントフロア」。

2018年に開通した宜野湾市宇地泊を結ぶ沖縄西海岸道路の通り沿いにあり、”美ら海”を見渡せる景色は魅力的です。浦添市西海岸エリアは、「那覇港浦添埠頭コースタルリゾート」という計画が進んでおり、今後は海沿いに大型客船バースができ、リゾート施設や人口ビーチなどの開発も検討されています。「キャンプ・キンゼー」の返還と共に沖縄観光の目玉になることは間違いありません。

 

N氏 私が選んだ「軍用地ベスト5」は、穴場の「トリイ通信施設」。
トリイステーション

第5位「トリイ通信施設」

沖縄県読谷村にあるアメリカ軍の基地。「トリイステーション」とも呼ばれる。基地のゲートにそびえ立つ鳥居が名前の由来であり、この基地の象徴。1986年に牧港補給地区から陸軍第10地域支援群司令部が移駐して、在沖米陸軍の上級司令部となった。返還協定では「通信所」が使用目的となっていたが、米陸軍特殊部隊(グリーン・ベレー)が基地の護衛を目的に駐留していることでも知られている。

N氏 実は「キャンプ・キンザー(牧港補給地区)」の施設が「トリイ通信施設」に移設。田舎にあるのであまり注目されていませんが、間違いなく「穴場」。
現在は「倍率40」ですが、一気に「倍率45〜48」に高騰しそう。これから「注目の軍用地」となりそうです。

ここで、N氏お勧めの「軍用地ベスト5」を整理してみよう。

(第1位) 嘉手納基地
(第2位) 嘉手納弾薬庫
(第3位) 那覇空港
(第4位) キャンプ・キンザー(牧港補給地区)
(第5位) トリイ通信施設

返還される可能性のない鉄板の「軍用地」が上位3位を占める一方、返還後も立地条件が良く観光の目玉になることから「キャンプ・キンザー」が第4位。そして、これから”倍率”のジャンプアップが期待できる「トリイ通信施設」が第5位にランクイン。”アフターコロナ”の時代に、果たして結果やいかに。今後の展開が楽しみだ。(次回はN氏が選ぶ「軍用地ワースト3」へ、続く)

(N氏のプロフィール)
金融関係の仕事を経て2年前に不動産の世界へ。入って1ヶ月ほどで、”軍用地のカリスマ”と呼ばれる師匠と出会い、「軍用地投資」の魅力を知る。沖縄県外の顧客からの信頼も厚い。

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