19世紀は「イギリスの世紀」、20世紀は「アメリカの世紀」。
そして21世紀は「アジアの世紀」と言われて久しい昨今。
今こそ、アフターコロナに向けて、新たなビジョンを描く時ではないでしょうか。
そこでこのシリーズでは、アフターコロナのフロントランナーと言われる沖縄が持つ潜在能力について、今一度検証してみたいと思います。
「GDP」「人口」「物流」を制する”アジアの実態”
アジア開発銀行によると、2050年には世界の「名目GDP」(国内総生産)の半分以上はアジアが占める。つまり、「アジアの世紀」は決して絵空事ではありません。
「『沖縄研究会(注1)』によると、アメリカ、アジア、ヨーロッパの3つの拠点の2030年の名目GDPは、2017年に比べて約33兆ドル増えて、92兆ドル。その増価額の内の56%
にあたる18.5兆ドルをアジアが占めると予測されています」(テレビ局記者)
(注1) 内閣府沖縄総合事務局OBが研究活動している組織
「アジアの世紀」を裏付けるのは、GDPだけではない。人口でもアジアが大勢を占めることになるという。
「『沖縄研究会』によると、アメリカ、アジア、ヨーロッパの3つの拠点を比べると、2017年時点で既にアジアの人口が68%を占め、その勢いは止まることなく、2030年には人口増加の80%(1億900万人)をアジアが占めると言われています」(前出・テレビ局記者)
経済の発展を予測するものとして「GDP」「人口」に加えて、もう一つの指標と言われているのが、「物流」です。
「こちらも2014年の時点でアメリカ、アジア、ヨーロッパの3つの拠点の内で、アジアの取扱高は73%。それが2030年になると全体の87%になっていると言われています」(前出・テレビ局記者)
2010年頃から、日本政府は経済発展が著しいアジアの新興国市場で、ビジネスチャンスを活かすことが、今後の重要な成長戦略になりうると公言してきました。そのフロントランナーが沖縄であることは間違いありません。
『アジアの世紀』の中心に位置する沖縄の可能性
沖縄は、日本の地図を見ると南の果ての島です。しかし、沖縄を中心に見ると4000キロメートル圏内に、日本は元より、中国、シンガポール、マレーシアを含むASEAN10カ国が入る「アジアの世紀」の中心地。
これを飛行機で換算すると、およそ沖縄から4時間県内に中国(13億人)、日本(1.3億人)、ASEAN(6億人)の人口20億人の巨大市場が存在します。これは、全世界の人口の三分の一にあたる巨大なマーケット。
今から400年前、琉球王国は中国と薩摩藩、両方に属する特殊な環境下で地理的な優位性を活かして貿易立国として繁栄を享受してきました。今や「アジアの世紀」の巨大マーケットのセンターに位置する沖縄こそ、新たな繁栄を手に入れるチャンスなのではないでしょうか。 (次回へ続く)
(参考文献:「未来経済都市 沖縄」安里昌利著)
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