2022年前期のNHK朝ドラに、沖縄を舞台にした「ちむどんどん」が決定。
アフターコロナの時代を睨み、沖縄では撮影場所を巡る”聖地巡礼”に、早くも大きな期待がかかっている。そこで、このシリーズでは「朝ドラの経済効果」について、詳しくみていきたい。
今回は、女優の黒島結菜演じるヒロイン・比嘉暢子が生まれ育った故郷「やんばる地方」の経済効果について、最新のニュースを取り上げながら検証していきたい。
「ちむどんどん」の舞台は、「やんばるの森」
「やんばる地方」とは、どこにあるのか。
「やんばる(=山原)」とは、沖縄本島の最北端に位置する「国頭村(くにがみそん)」、隣接する大宜味村、東村からなる森の国。3つの村にまたがる「やんばるの森」は、2016年に「やんばる国立公園」に指定され、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネなど希少な固有種が暮らす生物の多様性豊かなこの地域は世界自然遺産登録を目指している。
北部練場
特に沖縄本島の最北端に位置する「国頭(くんじゃん)」は、95%が森林の”奇跡の森”。那覇空港から車で約4時間弱。
面積の23%を米軍海兵隊の訓練場が占める基地の街でもある。
北部訓練場 (ほくぶくんれんじょう) は、沖縄県国頭郡の国頭村と東村にまたがるアメリカ海兵隊の基地。総面積は約35.33km2であり、沖縄県における最大の軍事演習場である。
本区域の上空2000フィートまでは米軍による使用が認められている。英名キャンプ・ゴンサルベス (Camp Gonsalves) は沖縄戦で戦死したハロルド・ゴンザルベス海兵隊一等兵にちなむ。
正式には「ジャングル戦闘訓練センター」(Jungle Warfare Training Center, JWTC, 1998年より改称)である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2022年の朝ドラ「ちむどんどん」(NHK)は、2012年秋頃クランクイン!
広い田園風景やサトウキビ畑は、沖縄県国頭郡今帰仁村。綺麗なビーチや街中は名護市内で行われる予定だと言われる。
3月3日、情報番組「あさイチ」(NHK)の番組内で、ヒロインを生中継で発表したオクマプライベートビーチ&リゾートの担当者は、「コロナの影響で観光客が激減しているが、ドラマを観て一人でも多くの方がやんばるに足を運び、地域活性化に繋がると嬉しい」とコメント。
また撮影の候補地となる国頭村観光協会も「コロナ禍で暗い話題が多い中、明るいニュース。
ドラマのテーマとなる沖縄料理ややんばるに残る沖縄の原風景を全国に広め、コロナ収束後の観光回復に繋がって欲しい」と意気込みを語っている。
「沖縄料理」がテーマ 「ちむどんどん」が生み出す”ビジネス効果”とは!?
「ちむどんどん」とは、沖縄の方言で「チム(肝=心臓、心)」が高鳴る様子を示す言葉。
ここで朝ドラ「ちむどんどん」の物語をおさらいしたい。
2022年、沖縄が返還されて50周年の記念すべき年の朝ドラに決まった『ちむどんどん』。
ヒロイン・暢子(黒島)は、1960年代にやんばる地方・国頭村のサトウキビ農家の4人きょうだいの次女に生まれました。
マイペースで明るく育った暢子は家族の絆に励まされながら、沖縄が本土復帰した1972年に西洋料理のシェフを目指して上京。
やがてふるさとの食に自分らしい生き方を見出し、沖縄料理のレストランを開業するといった物語です。
主演する黒島以外にも沖縄出身の女優・仲間由紀恵や大河ドラマ『麒麟がくる』で織田信長の妻・帰蝶役を演じて注目を集めた川口春奈、さらに上白石萌歌の名前も取り沙汰されています」(ワイドショー関係者)
脚本を手掛けるのは、映画「パッチギ!」「フラガール」などで知られ、2014年後期の朝ドラ「マッサン」を手掛ける羽原大介のオリジナル脚本。羽原自身もインタビューに応えて、
「前回(「マッサン」)が北海道、今回が沖縄。日本最北端と最南端の朝ドラを担当させていただくことになりました。前回はウィスキー、今回は沖縄料理です。沖縄の『復帰50年』と言われた時は身構えたけど、1972年前後の沖縄を改めて学び、取材を重ねるうちに、プレッシャーはモチベーションへと変わりました」と自信の程を覗かせている。
ドラマのテーマとなる「沖縄の料理」に話題集中
番組の放送開始と共に大きな話題を呼ぶことは、間違いなさそうだ。
そんな中、3月3日の生番組「あさイチ」(NHK)の中でも主演する黒島結菜は、沖縄の代表的な郷土料理として「イナムルチ汁(=イナムドゥチ)」を紹介している。
「イナムルチとは、豚肉や野菜、かまぼこ、こんにゃくなどが入った味噌仕立ての汁料理。
沖縄風の豚汁。沖縄の伝統的な料理のひとつ。かつては猪の肉を使って作られていたと言われる料理で、いつしか猪の肉の代わりに豚肉を使うようになったことから、『猪モドキ』=『イナムルチ』。『イナ』は方言で『イノシシ』、『ムルチまたはムドゥチ』は『もどき』の意味を表します。
祝い事や親類縁者の集まる席でふるまわれる定番メニューの一つで、黒島さんも給食でも食べたと話していました」(ワイドショー関係者)
沖縄の”食”がテーマとなる朝ドラ「むちどんどん」。飲食店のみならず、様々な分野でビジネスチャンスを生みそうだ。
生徒数が沖縄一少ない「辺戸名高校」に、県外生徒を呼び込むチャンス
しかし「ちむどんどん」効果をもたらすのは、何も沖縄の経済界だけではなさそうだ。
「沖縄タイムス」によると、沖縄本島の最北端に位置する辺戸名高校にも大きな変化をもたらす可能性は充分にある。
「生徒数が年々減少している辺戸名高校は、2020年に生徒数100人を切って、沖縄県内で一番生徒の少ない学校。国頭村、大宜味村、東村の3村の過疎化が進む中、致し方ないことではありますが、希少生物が息づく自然環境を生かして2001年に”環境科”を設立。県外の合同学校説明会にも2019年度から参加して全国にPRしたおかげで2019年に6名、2020年度には7名の県外生徒が入学。『ちむどんどん』が放送される2020年度以降は、さらに県外生徒の増加が期待できそうです」(テレビ局記者)
授業では、大学教授などの専門家が外部講師として参加。生徒それぞれが自然をテーマに調査、研究して化学作品展で発表するなど専門的な知識が学べるとして、本島中南部からも進学する生徒は徐々にだが増えてきた。
校内では現在、オオウナギやシリケンイモリ、島ヤギ、琉球犬など約60種類の動物を飼育。生徒が地元の小・中学生相手に、森林でやんばるの生き物や外来種問題などについて教えるなど体験教室も行ってきた。
そんな中、2019年度からは全国から生徒を募集する制度「地域みらい留学」にも参加。
東京や大阪で行われた合同学校説明会では、環境科の授業内容やサイエンス部や食物部など特色のある部活動のPRにも力を入れた結果、県外生徒が増えつつあるという。
「県外生徒からも『将来は沖縄の動物たちと触れ合い、守ることが出来る仕事に就きたい』『自然の中でみんなのんびりしている。勉強しやすく、成績も上がった』といった声が聞かれます。
来年度からは『環境科』よりも特色が明確になる『自然環境科』に名称も変更。
『ちむどんどん』でやんばるの魅力がアピールされれば、県外生徒の急増も予想されます。後は、安心して進学してもらえるように、卒業後の進路をさらに開拓・確保していくことが大切です」(前出・テレビ局記者)
“やんばる”の魅力と共に、地域活性化は勿論の事、教育の現場にも明るい日差しが差し込みそうだ。
◆物語
1960年代。まだ沖縄はアメリカ軍の統治下にありました。沖縄本島北部は、「やんばる地方」と呼ばれ、豊かな自然や山林の多い地域。
その「やんばる」の、とある ひなびた村に、サトウキビなどの農家を営む比嘉(ひが)家が暮らしていました。父と母はふたりで一生懸命働き、家計を支えています。長男、長女、次女、三女の四人の子供たちは、それぞれに個性豊か。けんかしなが らも仲良く育っています。
ヒロインは 次女の暢子(のぶこ)。家族でいちばん、食べることが大好きで、おいしいものが大好き。
野に山に海に、小学生の暢子にとって「遊ぶ」といえば、「何かを採って食べること」。
そして、一度だけ家族そろって町のレストランで食事をしたときに、暢子は生まれて初めての西洋料理にこころ奪われました。やがて一家をつらい運命が襲います。優しい父が急逝。残された母は女手一つで働き、経済的に苦しい中で四人の子供たちを育てます。
働く母を支えるために子供たちはそれぞれに家事を担当。暢子は料理を担います。月日は流れ、高校卒業を迎えた暢子は、「東京に行きたい。西洋料理のシェフになりたい!」と夢を抱きます。
折しも1972年、沖縄の本土復帰の年。暢子は家族や兄妹のサポートを得て東京に渡り、念願の有名レストランの厨房で修業をはじめます。職場は東京ですが、下宿先は神奈川県横浜市の鶴見。京浜工業地帯が近い鶴見は、戦前から、働くために海を渡ってきた多くの沖縄出身者が移り住んだ町でした。
暢子は厨房で厳しい修業の歳月を送り、兄妹たちもそれぞれの道を歩み出します。気持ちがすれ違うこともありますが、昔から共に食べてきたふるさとの料理、そして家族の思い出が兄妹の絆をつなぎ、互いに支え合いながら大人になっていきます。
そして暢子はさまざまな人とふれあい、恋をして、料理人として成長するなかで、「東京で沖縄料理の店を開きたい」と感じ始める…。
2022年度前期 連続テレビ小説『ちむどんどん』スケジュール。
【放送予定】
2022年春
【制作スケジュール】
2021年秋ごろクランクイン予定
【作】
羽原大介
【語り】
ジョン・カビラ
【沖縄ことば指導】
藤木勇人
【フードコーディネート】
吉岡秀治 吉岡知子
【主なロケ予定地】
沖縄県
【スタッフ】
制作統括:小林大児 藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文 松園武大 中野亮平 ほか NHKドラマトピックスより引用
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