これまでお伝えした通り、軍用地とは米軍基地と自衛隊施設の二つの用地を指しています。例えば、国土交通省が所轄する那覇空港にも米軍基地と同じように国土交通省から借地料が支払われています。では米軍基地と自衛隊施設、どちらの軍用地を購入した方が得だと思いますか。
「米軍基地」を購入した方が得する理由
沖縄県の知事公室基地対策課が公表した「沖縄の米軍及び自衛隊基地(平成29年3月版)」によるとどちらが特なのか、一目瞭然です。
米軍基地と自衛隊施設、両者の過去10年間の年平均上昇率を比べて見ましょう。すると「米軍基地 1.25%」に対して「自衛隊施設 0.75%」、明らかに米軍基地が自衛隊施設を上回っています。
では米軍基地の中でも、どの土地を購入したらいいのか。
その判断基準として役に立つのが、「土地賃借料算定調書及び土地明細書」です。この書類は、実際に軍用地を購入して地主会に加入すると、地主会から送られてくるもの。
あなたが所有する米軍基地の施設名は勿論、所在地、面積、登記簿謄本上の地目、種別、面積、1平方メートルあたりの単価、年間の算定賃借料などが記載されています。
実はこの「土地賃借料算定調書」、軍用地購入前にも不動産業者から手に入れることができます。
ではなぜ、この書類が軍用地購入のために役立つのでしょうか?
その理由は、この書類に記載されている「種別」の項目を見ることができるからです。
「宅地見込み地」が「宅地」よりも有利
そもそも「種別」とは一体、何のことを指すのでしょうか?
土地を鑑定評価するにあたり、その土地の利用状況に応じて分析する必要から、土地は「宅地」「農地」「林地」などに分類されます。
その中でも、他の種別の地域へ転換しつつある土地を「見込み地」と呼び、現状が山林でも隣接地域が住宅地であり、住宅の建設に適した環境にある場合は、その土地を「宅地見込み地」と呼び、やがて土地の評価が上がることも簡単に予測できます。
しかも「宅地見込み地」は「宅地」より単価が安い!
安く購入したにも関わらず、値上がりが期待できる。だから「宅地見込み地」は狙い目というわけです。
県内最大級の商業施設「イオンモール沖縄ライカム」に生まれ変わった軍用地
2013年4月、日米両政府は「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」に合意。
県内でも人口の多い嘉手納基地以南にある米軍6基地の各施設を再編統合。空いた土地から順次、日本に返還する計画を返還時期もあわせて発表しています。
注目を集める普天間飛行場の返還時期については、名護市辺野古への移設を前提に「2022年度またはそれ以降」となっているものの、「県外移設」を求める沖縄県側の理解が得られず、暗礁に乗り上げていることは周知の事実。
しかし、普天間飛行場のケースを除いても、返還時期が明らかになったことで「返還後の跡地利用」を見込んで軍用地への投資はさらに期待感が高まっています。
中でも返還後に、最も成功した米軍基地を一つ紹介しましょう。沖縄県北中城村の「キャンプ・フォスター」内にあった米軍専用(泡瀬)ゴルフ場は1996年に返還が決まり、2015年5月には県内最大級の商業施設「イオンモール沖縄ライカム」が誕生。
※ライカム (RyCom) ・・・ かつての琉球米軍司令部 (Ryukyu Command headquarters) の通称です。
開業1年目の来場者数は1300万人を突破。
その周辺には、アパートやマンションも建設され、さらなる発展が見込まれています。
第2の「イオンモール沖縄ライカム」を目指しているのが、宜野湾市の「普天間飛行場」の返還。
暗礁に乗り上げ、以前なら心配する声も上がっていたでしょう。
しかし、今は法律も改正され、返還後、政府が責任を持って危険物を取り除いた上で所有者に土地を引き渡します。
しかも引き渡しから3年間は、給付金として軍用地料が支給され続け、さらに土地の使用収益が見込まれる時期までは特定給付金も支給されます。
「軍用地購入」への第一歩は「情報戦」を制すること
では実際に「軍用地投資」を始める場合の手順について、説明しましょう。
事前の「情報収集」に始まり、土地賃借料算定調書などを取り寄せて「物件資料の確認」を行った上で、「購入の申し込み」。
その上で「資金計画」を立てて「売買契約」を結び「引き渡し」となります。まずは軍用地に関する「情報収集」について詳しく見ていきましょう。
軍用地は沖縄県の内外を問わず、購入することができます。
そこで、まず手始めにやっておきたいのは、地元沖縄県の不動産業者の「メルマガの登録」。軍用地の地主(売り主)は、販売活動を知られたくない場合が多い。
そこで不動産業者も、情報を表に出したがりません。そんな時に役に立つのが、顧客に物件情報を教えてくれるメルマガというわけです。
しかし、すべての不動産業者にメルマガがあるわけではありません。
そこでチェックして欲しいのが、沖縄専門の賃貸・不動産情報サイトの大手「うちなーらいふ」や「グーホーム」のサイト。
沖縄の賃貸や売買物件を探している人からの問い合わせの90%は、この2社のサイトからだと言われています。こまめにチェックして、損はありません。
インターネットで検索する場合の豆知識。
「軍用地 売買」で検索した場合、狙い目は検索結果の2ページ以後の不動産業者です。
なぜなら上位に表示される不動産業者は、大勢の希望者がアクセスしており、ハードルが高過ぎます。
ところが2ページ以降の不動産業者であれば、更新頻度が低いなどの理由から検索上位には表示されません。
しかし、これまで軍用地を扱った実績があり、新たな軍用地を扱う可能性も十分にあります。こうした「穴場」も、時間の許す限りチェックしてみてください。
そして見逃してはならないのが、琉球新報や沖縄タイムスといった地方紙の朝刊に掲載されている不動産広告。
読者の皆様に大サービス!沖縄タイムスを写メっておきました(笑)
60代以上の地元の優良顧客の中にはインターネットを苦手とする世代も多く、そうした状況を踏まえて不動産業者はむしろ「新聞広告」を有効利用しています。
いずれもインターネットで検索すると上位に出てくるところが広告を出しています。
朝一番に紙面をチェックして、開店直後に電話を入れることが肝要と言われていますが、昔のP店じゃないので朝から並ぶということは必要なくなってきています。
まだまだある「軍用地購入」の裏技
ここからは、「軍用地購入」の為の”裏技”を伝授しましょう。
地方紙の不動産広告を見ていると、近頃は「軍用地売ります」といった広告よりも「軍用地買い取りします」と書かれた広告を多く目にします。
買い取りを行う不動産業者は、現金を必要としている地主から相場以下の倍率で軍用地を買い取り、利益を乗せて転売する。
そういった不動産業者から直接、購入することができれば業者自身が売主となるため、仲介手数料もかかりません。
さらに「地域密着型の老舗不動産屋をしらみつぶしに当たる」のも、有効な手段です。すぐに軍用地の情報がない場合でも、連絡をもらえるように名刺交換をしておきましょう。
しかも「購入した際は、売却する時も仲介をお願いします」と一言付け加えるだけで不動産業者も2回分の仲介手数料が入ってくるためメリットがある。さらに資金繰りの具体的な状況を伝えておくと効果はてき面です。
数は多くありませんが、軍用地が「競売」や「公売」に出ていることもあります。こうした情報は、競売なら「不動産競売物件情報サイト」、公売なら「公売情報」で検索が可能。軍用地の場合、市場価格よりかなり安い価格で設定され、80%前後で落札されています。初心者にとってはハードルがやや高め。競売・公売の経験がある場合は、チャレンジしてみる価値は十分にあります。
もし、軍用地が本当に欲しいのであれば、沖縄に来て軍用地専門の老舗に直接顔を出して相談に乗ってもらうのが一番良いかもしれません。
よく考えればわかることですが、優良物件は良客に一番最初に情報を出すのが人間心理。何回も買ってくれている方に一声かければ「秒」で売れてしまう。
そんな時代もありました(去年まで)。
コロナの影響もありますが、今は価格が高いこともあり「秒」どころか残っている物件も出てきているという話もあります。
本当に価値のある情報を手に入れるためには、それなりの努力が必要ということは間違いありません。
ちなみに、沖縄軍用地研究会にも老舗不動産会社のトップから情報が入ってきますので、もしご希望の方がいらっしゃいましたらメルマガを登録していただければ、情報が入りましたらお送りするというサービスも検討中です。今はメルマガ発行はしていませんので、メールください(笑)
(参考文献 「『軍用地投資』入門」里中一人 「『軍用地投資』の教科書」仲里桂一 「沖縄の米軍基地と軍用地料」来間泰男)
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