軍用地投資の『虎の巻』投資までの成功のシナリオ

軍用地投資

軍用地の物件情報を手に入れたら、「投資に値するのか」具体的な検討に入ります。

通常の物件であれば、必ず「物件概要書」を不動産業者から入手。それを見て投資に値すると判断したら、現地に赴いて物件の周辺環境や建物の調査を行います。
しかし、軍用地に関しては、こうしたプロセスは必要ありません。

「軍用地投資」に必要な『3点セット』

軍用地投資に必要なのは、
「土地賃借料算定調書」
「登記簿謄本」
「航空写真

この3点セットだけで大丈夫です。
「土地賃借料算定調書」で軍用地料と土地の種別を確認。
「登記簿謄本」で所有者と所在地を照らし合わせて、
「航空写真」土地の形状や位置をでチェックしていきます。

実際に書類と照らし合わせて、説明していきましょう。
土地借地料算定調書
「土地賃借料算定調書」は軍用地主に対して国が発行している書類。地主会に加入していない場合でも直接、沖縄防衛局から送られてきます。

「土地の所在地」にある「地目」とは、不動産登記法に定められた土地の区分。
田、畑、山林、宅地などを表しており、「地目」が異なると軍用地の単価も変わってきます。

「種別」は、土地を評価する際に使われる分類名。農地、宅地、宅地見込み地、など。
前回説明した通り、「宅地見込み地」は単価の上昇率が高いので覚えておきましょう。

「面積」は、軍用地として賃貸借契約している土地の平米数。
「単価」は、1m平方あたりの金額。つまり、「面積」×「単価」=「算定賃借料」が、記載されているというわけです。

「登記簿謄本」で重要なことは、「土地賃借料算定調書」の所有者と「登記簿謄本」の「権利部(甲区) 権利者その他の事項」に書かれている最終的な所有者が同じであるか、必ず確認してください。

もし違っている場合は、購入を見合わせてください。

軍用地は立ち入って現地を確認することができません。
最後に「航空写真」で土地の形状や位置を確認しましょう。

「航空写真つき地番地」は、土地家屋併合図に上空からの写真を重ねたもの。市町村の資産課税課に備えられているもので土地の形状を確認してください。
現地調査することなく書類の確認だけで買える軍用地。お手軽なだけに、スピードが大切。次は、その辺りを詳しく見てみましょう。

「軍用地」の買い付けは『スピードが命』

「3点セット」を確認して購入することを決めたら、売買を仲介している不動産業者に「買付証明書」を提出して、買う意思をアピールしてください。
「買付証明書」には購入希望の軍用地の平米数や所在地、購入希望金額、手付金の額、支払い方法、希望する契約締結時期や引き渡し時期などを記載。
書類に不備がなければ、仲介業者に「売渡承諾書」を提出して、売買契約を結ぶための手続きが始まります。

しかし「買い付け」を入れているのは、あなただけとは限りません。
「軍用地」の買い付けは、複数の「買い付け」が入るのは当たり前。その中から選ぶのは、最終的に「売主」次第。
現金での支払いを記載している人、最も高い購入希望金額を提示している人が有利になる可能性が高いと言われています。

そうした競争を勝ち抜くためにも「即決する」ことが必要です。

ではどうしたら、判断するスピードが速くなるのでしょうか。

その際に注目すべきは、「販売価格」「施設」「倍率」について明確な自分の判断基準を持つことが大切です。

「販売価格」は、手持ちの現金から投資に回せる現金はいくらあるのかを検討することが重要です。
「施設」は返還予定のない米軍施設の中で、軍用地料の値上がり率の高い「宅地見込み地」を選ぶことがポイント。そして「倍率」は、相場の倍率の「平均以下の倍率」が狙い目です。

この三つの中でも、一番判断に悩むのが「倍率」。情報収拾は地味な作業ですが、日頃から多くの物件情報に接して「即断即決」する能力に身に付けておきましょう。

そして契約前に、必ず確認して欲しいのが「地料の日割清算の有無」です。
通常、入居者のいる収益物件を売買する場合、入居者から受け取る賃料を売主・買主間で日割りで清算します。その場合、引き渡し日の前日までを売主、引き渡し日以降を買主の収益とするのが一般的です。

物件情報を見ると、「軍用地料の日割り計算」の有無を記載している業者も増えてきましたが、記載してない会社もまだあります。
そういった場合は、「軍用地の日割り計算」について必ず不動産会社に確認してください。

「軍用地」購入は、現金がいいのはなぜ?

軍用地を購入する場合には、「現金」による購入と「融資」による購入があります。
地主は、相続税を現金で支払うため、軍用地を分筆して500万円程度で売りに出す物件も多く、価格的には手頃。
しかも「融資」よりも「現金」の購入希望者を優先する売主も多くいるため、「現金」購入が一番確実ではないでしょうか。

また、軍用地を購入する際には「諸経費」がかかることも忘れてはいけません。
「不動産仲介手数料」「登録免許税」「司法書士報酬」「印紙税」「固定資産税」「不動産所得税」の6つの諸経費がかがり、大雑把に見積もると、軍用地の物件価格の7%程度と考えておけば十分です。

「不動産仲介手数料」とは、宅地建物取引業法(宅建法)に基づく不動産売買に際する仲介業者に支払う費用のこと。
200万円以下の手数料の上限は「5%」。200万円超から400万円以下の場合の上限は「4% +2万円」。400万円超の上限は「3%+6万円」となります。

「登録免許税」とは、不動産登記する際にかかる税金のこと。
「登録免許税」=固定資産税評価額 × 20/1000 (税率)

「司法書士報酬」とは、所有権の移転登記を自分で行わず、司法書士に依頼する際にかかる報酬のこと。所有権の移転登記で3万5000円以上が相場と言われています。

「印紙税」とは、売買が成立した場合、売買契約書や金銭消費貸借契約書に貼る収入印紙のこと。

「固定資産税」とは、不動産を所有している人が市区町村に支払う税金。毎年1月1日に1年分の固定資産税を収めるのが原則です。
「固定資産税」=固定資産税評価額(課税評価額) × 1,4%
固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税を計算するために用いる評価額のこと。基本、3年ごとに見直されています。

「不動産取得税」とは、売買・贈与で土地・建物を取得、また建物を新築・増築した際に支払う地方税。納税通知書は、取得後半月から1年半くらい経ってから届くため、注意が必要です。
軍用地の「不動産取得税」=固定資産税評価額 × 3% (沖縄の標準税率)

「売買契約」を結ぶ際の『落とし穴』

今まで知識を活かして、いよいよ売買契約を結ぶ際に宅地建物取引士が、必ず説明してくれるのが「重要事情説明書」。
この書類に記載されているのが、「対象物件に関する事項」「取引条件に関する事項」の二つです。

「対象物件に関する事項」では、購入予定軍用地の「所在地と面積」が、登記簿上の「所在地・面積」と相違ないこと。
「現況」が「軍用地」であること。そして借地人が防衛省であることの3つのポイントを必ず確認してください。

「取引条件に関する事項」では、売買代金の総額、手付金額、契約の解除ら関する事項、融資取扱金融機関などが記載されています。注意深く確認してください。

その上で、「不動産売買契約書」の内容を確認の上、売主・買主が署名、捺印して各自1通を保有。売買契約締結後、買主が売買代金を支払い「登記識別情報」などの書類を受け取ります。「所有権移転登記」の申請手続きを行い、引渡しとなります。

(参考文献 「『軍用地投資』入門」里中一人 「『軍用地投資』の教科書」仲里桂一 「沖縄の米軍基地と軍用地料」来間泰男)

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