金武ブルー・ビーチ訓練場の横顔と問題点 (軍用地跡地利用を考えるその3)

ブルービーチ訓練場

金武町には、町(37.76平方キロメートル)の約60%を米軍基地。キャンプ・ハンセン、金武ブルー・ビーチ訓練場、金武レッド・ビーチ訓練場、このほかに航空自衛隊恩納分屯基地(0.16平方キロメートル)もキャンプ・ハンセンに隣接しています。

「金武ブルー・ビーチ訓練場」の横顔

金武ブルー・ビーチ訓練場 (Kin Blue Beach Training Area) は、金武町の金武岬にある海兵隊の訓練場。
上陸訓練のための730 mの海岸は、キャンプ・ハンセンから水陸出動の場として使用、また上陸用舟艇や
ホーバークラフト等を使用した上陸訓練、水上輸送訓練、上陸訓練、通信訓練、などが行われています。

以前は訓練のない時は、海水浴場として地元住民にも解放されていましたが、現在は立入ができません。

しかし年に一度、旧暦3月3日の重要な浜下り(はまうり)の儀式時期に2日程度開放されています。
金武ブルービーチ訓練風景

「金武ブルー・ビーチ訓練場」の歩みと問題点

1972年(昭和47年)5月15日の祖国復帰に伴い、米軍政府の管理下から脱却してもなお基地の実態は変わらず、半世紀を越えて金武町には米軍基地が存在しつづけています。
現在、金武町には6千余人の米国海兵隊員が駐留し、米軍演習による騒音公害や環境破壊、軍人軍属による事件事故などがたびたび発生しています。

また、広大な土地の接収が、町の振興発展の阻害要因となっているほか、実戦さながらの訓練が教育環境に悪影響を及ぼすなど、さまざまな基地問題を抱えています。
このような状況を改善するため、本町では、国、県及び米軍の関係機関等と連携して演習被害の軽減、事件事故の未然防止、基地経済からの脱却を図っています。
金武ブルービーチ訓練所

温泉で癒しのリゾートを目指す「ギンバル訓練場」跡地の取り組み

そんな中、2021年8月2日の「琉球新報」に「温泉施設は21年度中に開業へ 米軍基地跡が癒やしのリゾート地に ギンバル訓練場返還10年」の見出しが躍っている。

「温泉施設は21年度中に開業へ 米軍基地跡が癒やしのリゾート地に ギンバル訓練場返還10年」

金武町に所在した米軍ギンバル訓練場(約60ヘクタール)が2011年7月に返還されて、31日で10年を迎えた。跡地は「健康医療ツーリズム」の拠点化を目指してスポーツ・医療施設が整備され、温泉宿泊施設の建設も進む。返還時、「基地依存経済からの脱却の試金石」として、経済発展や雇用の拡大が期待された跡地利用の今を追う。

ギンバル訓練場は1957年に運用が始まり、海兵隊の野戦やヘリコプターの離着陸訓練に活用された。

1996年12月のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、ヘリパッドのブルー・ビーチ移設を条件に返還合意。
町は07年に条件を受け入れ、11年7月31日、54年ぶりに23ヘクタールが返還された。残る土地も13年9月までに返還が完了した。

さらに2019年1月16日の「琉球新報」によると温泉施設に関するより詳細な情報が記載されています。

温泉施設、来秋開業 米軍ギンバル跡地 2社が整備、運営

2011年に返還された沖縄県金武町米軍ギンバル訓練場跡地で、金武町が整備を進める温泉宿泊施設の開業が20年秋になることが15日までに分かった。
医療機関開業経営支援コンサルティングや不動産業を手掛けるアイロムPM(東京都、見波徹社長)が施設を整備し、ホテル業のレンブランドホールディングス(神奈川県、小巻公平社長)が運営を担う。

金武町は18年9月に事業用定期借地権設定契約を両社と交わした。町有地を30年間貸し付け、当初10年間は無償提供する。町は約100人の雇用を見込む。

金武町によると、温泉は町が14年3月から掘削作業を進め、15年に掘り当てた。150メートルの深さから34度の温泉が毎分400リットル湧き出ている。

宿泊施設は、19年7月の着工を予定しており、敷地面積が1万2762平方メートル。
地上7階建てのうち2~5階が客室(120室)、最上階に温泉を整備する。年間7万7千人の宿泊利用と13万人の温泉利用を見込む。

ギンバル訓練場跡地を巡り、金武町は「健康医療ツーリズム」拠点化を目指して整備を進めている。

ギンバル訓練場跡地にできる癒しのリゾート地は、果たして目論見通り進むのか。

様々な論議を呼んでいる軍用地跡地利用問題。軍用地地主にとっては、今後の成り行きが気になるところだ。そこで軍用地跡地利用問題に関する興味深い「論文」をここで、抜粋して紹介しておきましょう。

「沖縄軍用地の過剰開発プロセスにおける自治体の役割」by難波孝志 (第三回)

軍用跡地利用にかかわる葛藤

「第二回」で6 アクター間に、様々な葛藤があることがわかりました。
今回は、三つの葛藤についてお話ししましょう。

第1の葛藤「軍用地所有の有無にかかわる葛藤」

公的資金を投入した跡地再開発が基地以外の地元商店を脅かし、軍用地主に対して、その跡地利用事業に公的資金を投入することが、誰にも損をさせないルールに反することになる。

跡地再開発の成功事例と言われる那覇市牧港住宅地区跡地(新都心)や北谷町 (アメリカンビレッジ)においても、その懸念はすでに指摘されています。

第2の葛藤「返還順序による葛藤」

この葛藤はさらに 2 つのタイフが考えられます。
その 1は、返還の前提条件としての返還順序

SACO 最終報告や日米安全保障協議委員会( 2 プラス 2 )による返還合意には、返還条件として基地移転が含まれる場合が少なくありません。

注目を集める普天間飛行場跡地の返還は、名護市辺野古地区等への移転が条件であるし、那覇港湾施設跡地は、浦添埠頭地区新規埋め立て地への移設等が条件になっています。

移設先では、受け入れを許可すれば恒久的な施設になってしまう可能性が高く、受け入れへの反発は大きい。

その2は、単純に米軍からの返還順序の問題。

隣り合った基地の返還順序も葛藤を生みます。
道路を挟んで隣り合わせの返還跡地では、返還順序を巡って、自治体議会が反対決議を行った事例もあります。

第3の葛藤「返還是非への葛藤」

軍用地は返還されるべきか、返還されない方がいいか。全面返還ならよいが、一部返還なら拒否する。
多くの跡地返還の事例は、小さな土地が細切れに返還されてきました。跡地の返還が決まってからも、返還是非に関する葛藤は存在します。

また沖縄タイムスには「沖縄の軍用地率を下げるのみ?いやがらせ?」といった記事まで掲載されています。

いわば崖地のような使い道のない軍用地の返還は、米軍基地の沖縄集中のパーセンテージを下げるためだけのパフォーマンスであって、返還される側には何のメリットもないというわけです。

市当局が継続使用を要請した例もあり、また嘉手納以北の山間部では、使い道のない土地はもちろん、爆撃演習による不発弾や地雷が多数埋まっている土地を返還されても困るという意見も出てくるのは当然でしょう。
(次回へ続く)

ブルービーチ訓練場倍率

ここのところブルービーチの売り物もみたことがありません。
ハンセンはたまに出ますが、ブルービーチは地主数も救いないし面積もあまり広くないのでなかなか出ないのではないでしょうか?
ちなみに、金融機関の評価倍率表を見るとD地区で45倍となっております。

ブルービーチ訓練場物件

同じく物件情報はありません。

ブルービーチ訓練場概要

所在地 金武町(字金武)
施設面積 381,000 m2
地主数 302人
年間賃借料 42,000,000万円(平成24年度実績)
施設の管理及び用途 管理:海兵隊
用途:演習場
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