2022年前期のNHK朝ドラに、沖縄を舞台にした「ちむどんどん」が決定。
アフターコロナの時代を睨み、沖縄では撮影場所を巡る『聖地巡礼』に、早くも大きな期待がかかっている。
そこで、このシリーズでは「朝ドラの経済効果」について、詳しくみていきたい。
何故、軍用地と関係が?
と思われる方も多いと思いますが、本題に入る前にそのあたりの説明を・・・。
軍用地の価格は沖縄の経済に連動
軍用地とは?ということがわかると、軍用地の価格がどのように決められているかも知りたくなるのは当たり前。
軍用地だけではなく、モノの価格は需要と供給のバランスで決まってくることは承知の沙汰。
では、どのような時に需要が上がるのか?供給はどうなっているか?を知っておく必要がある。
軍用地の需要
需要というのは、買いたい人が増えるということと考えるべき。ということは、どうなったら買いたい人が増えるのか。
答えは、お金に余裕が出てきた時。
ではどんなときにお金に余裕が出てくるのか、どんな人に余裕が生まれると軍用地を買うのだろう?
沖縄の投資
これは、うちなんちゅう(沖縄県民)の家族の話。
父 「いや~、景気が良くて儲かってきたね~」
「そろそろ家族で海外旅行でもいくかね」
息子「いいね!僕ハワイに行きたい!」
娘 「私はディズニーランドがいい!」
母 「そうね、家族旅行なんて何年ぶりかしら」
祖母「旅行なんていかないで、その分軍用地を買っとくのさぁ!」
景気が良くなると、どんどん消費してしまう癖がある沖縄県民。
しかし、おばぁはこの景気が長く続かないことを経験から知っている。
「儲かったら軍用地にしておけば、困った時に助けてくれるさぁ」と地回り2%程度の軍用地購入をすすめる。
これが沖縄県民の軍用地投資の始まり。
軍用地の需要と供給のバランス
一般的に考えて、買いたい人が増える時は景気が良くなる時。
しかし、景気が良くなっても物件は簡単には出てこないのが現状。
当たり前ですが、軍用地供給は、売らなければならない事情があるときに突然現れます。
常に存在しているわけではありません。
しかし、ある一定数はキャピタル狙いの投資家もいるので、「儲かったから一回売って利益確定しておこう!」という物件もあることは間違いないと思います。
そう考えると、景気が良くなって値段が上がってきた時にタイミングが良いと判断して売りに出す人もいます。
軍用地と相続
最近よく聞く話は、こちらも相続関係。
軍用地の所有者が亡くなった時。相続人が数名いて、それを分与する事態がおきた。
相続人全員で話し合った結果、売ってしまって相続税を払って残ったものをみんなで分けることにしよう!
そんなことが起きると、大口の案件が飛び出してくる。
これを安く買えるかどうか・・・。
情報勝負というところもあるが、売る側は1円でも高く売りたいのが信条。
売る側は新聞広告の「買います」情報に電話かけまくって、0.1倍でも高いところに決めようと動きまわります。
そんなことが起きて、軍用地は売りに出されるのです。
まあ、これは一つの例ですが、こんな家族会議は年中行われているのが現状です。
朝ドラの経済効果が軍用地を上げる?!
来年は復興50周年もあり、沖縄のことが日本中でニュースになる。そして、朝ドラ「ちむどんどん」が始まり、こちらでも注目される。
群衆は「話題のところへ」が基本なので、ワクチン効果でコロナが落ち着いていたら、沖縄大ブームがやってくる。
そうすると、観光産業が儲かりだし、その影響はあっという間に県内に広まっていき、儲かったお金は軍用地に(笑)
需要が上がって、軍用地の値段が徐々に上がりだし、売る人も増えてきて、更に値上がり??
そんなことが起きることを想像しながら、朝ドラの経済効果がどのくらいあるかを検証していこう!
ここからが本題。
今回は、2001年上半期に放送され、再び沖縄ブームを呼び起こした「ちゅらさん」。
2003年にNHKで行われた「もう一度見たいあの番組リクエスト」の連続ドラマ部門で、堂々の第1位に選ばれた大ヒット朝ドラを今一度、検証してみよう。
「ちゅらさん」の聖地巡礼「小浜島&沖縄本島」
沖縄の観光客減少に歯止めをかけ、再び沖縄ブームを巻き起こすきっかけになった「ちゅらさん」。
その最初の舞台となったのが、八重山諸島に位置する小浜島。20年経った今も西表島を臨むロケ地には「ちゅらさんの碑」が残っている。
小浜島は、八重山諸島の石垣港から高速船に乗り30分。面積は7.84㎢の小さな島。原付を借りれば、2〜3時間あればロケ地巡りをすることができる。
まずは、「ちゅらさん」の名場面で何度も登場した「シュガーロード」。その途中にある一本松は、今も当時のまま。
そして忘れてはならないのが、絵里たち古波蔵家が住んでいた「こはぐら荘」。赤瓦にシーサーもお出迎えしてくれる。
そして、小浜島で一番高い、標高99.8メートルの「大岳(うふだき)」。高級リゾート「ニライカナイ」と「はいむるぶし」は眼下。
そして西表島と水牛車で渡れる由布島も目の前。さらに小浜島を代表する「小浜節」の碑。その麓には「古波蔵家」のお墓となった亀甲墓。
さらに北側には、子供の頃、絵里が上村兄弟にキジムナーの話をした「キジムナーの御嶽」も見える。
大岳の西にあるのが、「西大岳(にしうふだき)」。竹富島と石垣島のベストショットは、ここからの眺めが最高。
「ちゅらさんの碑」があるのもこちら。小浜島の西側にある綺麗な「細崎(くばざき)ビーチ」もすぐ近くにある。
やがて那覇に引っ越した古波蔵家の「石畳の坂道」があるのは、那覇市首里の金城町の石畳。
16世紀に首里城へ行く道として作られた沖縄県の史蹟名勝でもある。
そして母・勝子(田中好子)が働いていた市場が、那覇市にある「農連市場」。
ここはすでに、2015年に解体されていて今は「のうれんプラザ」に移転している。
絵里の父・恵文(堺正章)がタクシーを止めて休息していた場所が「首里カトリック教会」横の道路。
そして、絵里が通う「那覇北高校」の校門として使われていたのが首里高校。
その通学途中渡っていた通学路の橋が「泊大橋」。小浜島とは違う沖縄暮らしの魅力が、あちこちで見ることができる。
『朝ドラの復活』のきっかけは「ゲゲゲの女房」
100作を超え、長い歴史を誇る朝ドラだが、1990年代から2000年代は、シングルマザーを描いた「私の青空」(2000年)、「ちゅらさん」(2001年)、ハワイ育ちの日系四世をヒロインにすえた「さくら」(2002年)など、新機軸を打ち出すヒット作はあったものの、視聴率的には10%代に落ち込む低迷期といわれる。
そんな低迷期を抜け出すきっかけとなったのが、2010年に放送された「ゲゲゲの女房」。
「この朝ドラは、『ゲゲゲの鬼太郎』を描いた漫画家・水木しげるの妻のエッセイが原案。主人公・布美枝(松下奈緒)は、村井茂(向井理)とお見合い結婚。
戦争で片腕を失い、貧しい生活を送りながらも大好きな漫画を描き続け国民的な漫画家になって行く夫を健気に支える妻を描いた物語。
よく知られる水木漫画のキャラクターが劇中に登場したことで漫画やアニメ好きの新たな視聴者を獲得。再浮上のきっかけを作りました」(テレビ誌記者)
しかし、朝ドラ復活のきっかけはこれだけではない。
このドラマを観た視聴者が、ドラマの登場人物の似顔絵”ドラマ絵”を描いて、SNS上にアップするという遊びが流行。
このブームはやがて、脚本家・宮藤官九郎が手掛ける「あまちゃん」(2013)で、”あま絵”が爆発的ブームを起こすことになる。
「さらに当時、ツイッターが世の中に浸透するタイミングとも相まって、朝ドラは、一人ではなく”みんなで楽しむ”という風潮が追い風になりました。
こうしたブームに女性誌『CREA』(文芸春秋社)、『Hanako』(マガジンハウス)といったおしゃれな女性誌でも朝ドラ特集が組まれ、社会現象となりました。
さらにこうしたSNSの書き手や漫画家に声を掛け作られた『あまちゃんファンブック』(扶桑社)もヒット。
それ以後、他社からも”朝ドラファンブック”が刊行されるようになりました」(テレビ誌記者)
さらにツイッターで知り合った”あま絵”画家たちは、ドラマの舞台となった岩手県久慈市のシャッター商店街に”あま絵”を描く活動を開始。
2016年にはヒロイン役を演じた能年玲奈(現・のん)も参加。
その中には大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)の原作を手掛ける漫画家・海野なつみもおり、彼女たちの”あま絵”を見るために現地を訪れるファンも数多くいる。
『朝ドラ復活』の起爆剤は、「ドラマ絵」「ツイッター」「朝ドラ受け」
“ドラマ絵”と”ツイッター”に並んで、朝ドラ復活に追い風となったのが、放送時間の変更である。
「『ゲゲゲの女房』(2010)からそれまで『8時15分』の放送開始時間を48年ぶりに変更。『8時』に繰り上げ、当時視聴率の良かった民放の情報番組とスタート時間を合わせました。さらに放送終了後に、新しく生放送『あさイチ』がスタート。MCを務める有働由美子アナとV6の井ノ原快彦による”朝ドラ受け”が始まると、”ドラマ絵”が番組にも寄せられ、”朝ドラブーム”は社会現象として認知されるまでになりました」(放送作家)
さらにテレビを観ない若者世代の間でも、スマホやネットを通じて配信される朝ドラを視聴。それを観ながらツイッターで呟くなど、視聴率には換算されない視聴者を数多く獲得している。
「『あまちゃん』以降も『花子とアン』(2014)、『あさが来た』(2015)、『とと姉ちゃん』(2016)、『べっぴんさん』(2016)といった実在する女性をモデルにした”女の大河ドラマ”が作られたため、”史実との違い”など議論するネタも尽きず、ツイッターは益々炎上。それに伴う経済効果も計り知れません」(前出・放送作家)
黒島結菜「糸満市ふるさと大使」就任へ 高まる”朝ドラ経済効果”
そんな中、2022年の朝ドラ「ちむどんどん」のヒロインに決まった黒島結菜に、出身地である沖縄県糸満市の「ふるさと大使」への就任が要請される模様。
「糸満市議会の公明党議員団が3月19日に糸満市長を訪ね、『糸満市ふるさと大使』就任を要請する提案書を手渡したと報じられました。これに対して市長も『糸満市のイメージアップにもつながる。NHKとの調整の上、要請していきたい』と答えています」(テレビ局記者)
新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、落ち込んだ市内経済の活性化にひと役買うことは間違いない。
2022年の”沖縄返還50周年”を前に、朝ドラ「ちむどんどん」の経済効果を期待する声は、今後高まるばかり。今後の展開について、詳細にレホートしていきたい。
(参考文献:「みんなの朝ドラ」木俣冬)
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