「ピーホス(PFOS)汚水放出問題」普天間基地に見え隠れする疑問と課題

ピーフォスってなに?

人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物・PFOS(ピーホス)で汚染された水をアメリカ軍が基地の外に流そうと計画している問題で、沖縄県は7月19日、汚染水が保管されている普天間基地に入ってサンプリング調査を実施しました。

普天間基地で保管するPFOS(ピーホス)汚染水を沖縄県がサンプリング

サンプリング調査は普天間基地内で7月19日の朝に行われ、アメリカ軍が基地の外へ流そうとしているPFOS(ピーホス)の除去処理をした水、およそ500ミリリットルを貯水タンクから採取しました。

事の発端は、うるま市にある「陸軍貯油施設!金武湾タンクファーム」で6月の大雨によって溢れ出たPFOS(ピーホス)を含んだ汚染水の処理。

現在は普天間基地に保管されていますが、アメリカ軍は日本の飲料水の現場基準を下回るまで処理をして宜野湾市の下水施設に流すことを検討しているとのこと。

しかし、県と宜野湾市は安全性が担保されているのか疑問が残るとして、汚水の基地外放出に反対を唱えています。
放出しようとしている水に残存するPFOS(ピーホス)の量について、県と国、アメリカ軍の3者で検査した上で、分析結果が公表されることになっています。

PFOS(ピーホス)及びPFOA(ピーホア)の正体

近年、沖縄県内の河川・地下水から PFOS(ピーホス)・PFOA(ピーホア) が、高い濃度で検出されたというニュースをご覧になった方も多いかと思います。
新聞には連日その記事が掲載されていますが、そもそも PFOS・ PFOA とはなんでしょうか?

PFOS(ピーホス)とは

ぺルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の略称で、有機フッ素化合物の一種です。PFOSは1940 年代にアメリカで開発された界面活性剤で、耐熱性、耐薬品性など非常に優れた安定性を持ち、表面張力を大きく低下させることなどから撥水剤や紙・布の防汚剤原料、泡消火剤成分などとして幅広く使用されてきました。

有機フッ素化合物の人の健康への影響についてはまだ研究段階で、PFOS(ピーホス) についての発がん性や人への毒性についてはまだ結論が得られていませんが、その安定性の高さゆえに環境中でほとんど分解しないこと、生物中に蓄積することなどから、現在 PFOS は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)の附属書 B(制限) に記載され、国際的に製造・使用の制限がされています。国内では化審法第一種特定化学物質の指定を受け、一部例外を除いて原則的に製造・使用が禁止されています。

PFOA(ピーホア)とは

ぺルフルオロオクタン酸(PFOA)の略称でPFOS(ピーホス)と同様の性質を示し、フライパンのテフロン加工や食品包装紙の撥水加工の際の原料などとして幅広く利用されてきました。

PFOA については現在、国内での使用制限はありませんが、2015 年にデュポンや 3M、旭硝子、ダイキン工業などの主要フッ素化学メーカーによる自主的な使用廃止がされています。
国内の過去の調査では、フッ素樹脂製造工場周辺、繊維の撥水加工工場周辺やそれらの工場排水を処理している下水処理場、空港周辺の河川・地下水から高濃度で検出されている事例が確認されています。海外でも工場、下水処理場、民間空港周辺や空軍基地周辺で高濃度の汚染が確認されています。

県内ではこれまでの調査の結果、嘉手納飛行場周辺の河川・地下水及び普天間飛行場周辺の地下水からアメリカやドイツの健康勧告値を超える濃度の PFOS・PFOA が確認されていますが、現時点で原因の特定には至っていません。

なお、健康勧告値は人が生涯にわたって飲料水として摂取した場合のリスクに安全率をかけた値なので、健康勧告値を少し超えた水を飲んだとしても直ちに健康に影響が出るものではありません。また、県企業局の浄水場では活性炭を用いてアメリカの健康勧告値を下回るよう処理が行われており、飲料水については安全と言えますので、過度に心配せず、普段どおりの生活を心がけていただければと思います。

普天間基地「PFOS汚水」にまつわる問題点

在沖米海兵隊が下水道へ排出を検討しているのは、普天間飛行場内で保管している汚水だ。放出前に厚生労働省が定める暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)に処理し、飲料水基準を満たすまで濃度を下げるという。「処理プロセスは安全で効率的、実績のある方法」と安全性を強調する一方で、汚水の総量も濃度も明らかにしていない。

いくら濃度を低減してもPFOSは残留性が高く、放出される量によっては人体や環境への影響が懸念される。さらに下水道から海へと流れれば風評被害を招きかねない。

耳を疑うのは、基地外放出を選択した米側の言い分だ。専門業者に委託する従来の焼却処理は、費用と時間がかかるからだという。

PFOSを含まない消火剤への転換を後回しにしてきたツケにもかかわらず、「台風シーズンを前に事故を未然に防止するため」との言い方は、あまりに一方的だ。

日米地位協定は3条で米軍に「公共の安全に妥当な考慮を払う」よう義務付けている。こと環境問題に関しては、この条文を厳格に運用すべきである。
(一部、沖縄タイムス社説「米軍PFOS汚水」抜粋)

金武湾第3タンクファームPFOS等流出事故に伴う調査結果について 沖縄県発表

概要 令和3年6月10日に発覚した金武湾第3タンクファームからの泡消火薬剤含有水の流出事故を受け、県が基地周辺で実施したPFOS等調査の結果が出ましたので、公表致します。
1.調査の概要 令和3年6月12日に、基地周辺水路(3地点)及び河川(2地点)において採水を行いました。
ピーポス流出事件

※「PFOS+PFOA」の合計値は数値の丸めの関係で一致しない場合があります。

3.調査項目
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)
6:2FTS(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクタンスルホン酸)
4.結果概要 今回の調査において、PFOSとPFOAの合計値が環境省が定める水質の暫定指針値である50ng/Lを超過した地点はありませんでした。

まとめ

軍用地の中には、こういった化学薬品や燃料を貯蔵している場所がいくつかある。
例えば昨日も書いた、嘉手納弾薬庫、先日PFOS(ピーホス)が漏れ出た金武湾タンクファームあきらかにこのために使うというネーミングではありますが、そこに何が眠っているか知っている住民は皆無です。
何か大きな事故があってから、そんな危険なものがあったのか~ と気付くのでは手遅れということもあり得ます。
そろそろ、そこに何がどのくらい眠っていて、それはどんな危険はあるのか知っておく必要がある時代ではないでしょうか?

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